前回取り上げた「赤盤」に引き続き、「青盤」の感想を書いてみたいと思います。
こちらの「青盤」2023 Editionも「赤盤」同様に2023年11月10日にリリースされ、従来版より9曲増えております。(28曲→37曲)
こちらはDisc 1は従来の「青盤」に「Within Without You」を加えた程度ですが、このことによって「Sgt. Peppers Lonely Heart's Club Band」期の脂の乗り切ったサイケ具合に磨きがかかっているような気がします。
基本的にグッドメロディーの「赤盤」に対し、「青盤」期のビートルズはとにかくやりたい放題。
インド趣味だったり、ファンキーな感じだったり、よくこの4年間にこれだけの音楽性を詰め込めることができたなと改めて通して聴くと感じましたね。
言ってみたらこの時期の彼らはドラッグや精神世界の影響下にもあったでしょうが、
「Lucy In The SKy With Diamonds」のけだるい感じの後のシタールが鳴り響くインド趣味の「Within Without You」の流れなんてそれこそ、
「赤盤」期しか知らなかった中学生の頃の自分が聴いたらきっと戸惑うだろうなあと思います。
そして、この時期のビートルズは改めて聴くと同時期だったり、後進のバンドに影響を受けたり、与えたりしていたんだなあと言う痕跡を曲の端々に感じます。
「Sgt. Peppers Lonely Heart's Club Band」は今聞くとサビのドラムはQueenの「We Will Rock You」を想起させるような感じですし、「Lady Madonna」はファンクソウルのようにファンキーですしね。
またDisc 2の方の「Back In The U.S.S.R.」も今聴いてみると同年代のビーチ・ボーイズの影響を受けていたんだなと感じます。
続いて、Disc 2の方はと言うと、「ホワイト・アルバム」の楽曲が3曲、「Abbey Road」の楽曲が2曲、「Let It Be」の楽曲が1曲と「Hey Bulldog」、新曲の「Now And Then」の8曲が新たに追加収録されました。
この追加収録された曲が「Blackbird」だったり、「I Want You」や「Oh! Darling」だったりとシングルの陰には隠れてはいるけれど、
アルバムの中では良い味を出している円熟されたグッドメロディの曲なんですよね。
今までの「青盤」でもこの時代のいいところは余すことなく収録されてはいますが、追加収録された曲のうち「Now And Then」以外の7曲によって、
より各アルバムの雰囲気を想像しやすくなったように思います。
個人的には「I Want You」、「Oh! Dahling」の追加収録は嬉しかったですね。
「Abbey Road」を初めて聴いたときからこの2曲はブルージーだったり、ソウルフルだったりで好きだった曲なので、こうやってベスト盤にフィーチャーされて本当に良かったなあと思います。
アルバム自体は新曲「Now And Then」で終わりますが、「本編」の最後のトラックとも言えるソウルフルなバラードの名曲「The Long And Winding Road」を聴くと本当に心が浄化される気持ちになりますよね。
グッドメロディに始まり混沌を経てグッドメロディに終わる。
ビートルズと言うバンドの歩んだ道がこの両アルバムの楽曲たちに象徴されるものと言っても過言ではないと思います。
その意味で「The Long And Winding Road」と言うのは「本編」を締めくくる意味では文句なしの楽曲と言えると思います。
そして、半ばボーナストラック的な位置づけの「Now And Then」ですが、通しで聴くと映画におけるエンドロールのような役割を果たしているようにも思えます。
「The Long And Winding Road」にこの「Now And Then」がかかると雰囲気としては新「赤盤」をあわせたこれまでの74曲とは違うのですが、
どこか名残惜しさを感じさせてくれます。
そう言った上で、この「Now And Then」も新「青盤」において果たしている意味も大きいと言えるでしょう。
と言うことで「青盤」の2023年版の感想を書かせていただきました。
通しで2枚聴いて改めて、ビートルズと言うバンドの音楽的変遷、時代に残した爪痕の大きさを感じさせられました。
これからも折に触れ、新「赤盤」、「青盤」両方ともに聴いていきたいと思います。